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  • ロングテイル

遅ればせながら映画『おくりびと』に生き方を考えさせられたのです

劇場版『鬼滅の刃』が公開され、春夏と大変だった映画業界が盛り返してきている感じがしますね。映画館って、作品をリアルタイムで楽しむ感覚が思い出に残るから好きです。

映画館にたどり着くまでの道のりとか、来場者の装いとか、上映が始まってからの会場内の息づかいとか。コロナ騒動がひと段落してからの世界のために頑張れ映画館って思います

と映画館が好きな私ですが、今回は映画『おくりびと』の感動を伝えたい!ということで、ヨコハマンのブログの場所をお借りすることにしました。まあ、気まぐれで見た昔の映画なのでNetflixで見たんですけどね…。冒頭の流れをひっくり返してしまいました汗

こんにちは、ヨコハマンで展示に参加させていただいているロングテイルです。世間的にはタイムリーな映画ではありませんが、生活様式が激変する今、生き方を見直している人にはグッとくる作品じゃないの?と思ってます



私、見る前は「葬儀屋さんの映画」っていう程度の印象を『おくりびと』に対して抱いていました。が、実際に見て感動!!「これは生き方を考える映画だぁ」と

本木雅弘が演じる主人公は、勤め先がなくなって失意の帰郷。そして「旅のお手伝い」と書かれた新聞の求人広告を旅行代理店の募集だと勘違いして主人公が応募すると、なんとそこは納棺師(ご遺体を棺に納める儀式を手がける専門職)の会社でした。山崎努が演じる社長が広告会社の誤植として主人公が勘違いした広告をちゃっちゃっと赤ペンで「旅立ちのお手伝い」と直すんですけど、これが最初の爆笑ポイントでした。『おくりびと』は葬儀を題材にしているんですけど笑える映画でもあるんです。もっとこの部分をまだ見てない人には知ってほしいなーーー

主人公はタヌキに化かされたような形で納棺師見習いとして働き始めますが、だんだんと納棺師の仕事に惹かれていきます。納棺師の仕事って「ご遺体を棺に納める」“だけ“と私も思っていましたし、主人公もたぶんそう思ってたんじゃないかな??

でもさ、納棺の儀というものはご遺族の前で行われるから、その一挙一動に参列者からの視線が注がれます。何ひとつ違和感も滞りもなく済ませなくてはならないんです。儀式っていうのは、これが大変なのよね…

とはいえ、納棺マシーンになりきって淡々と仕事をこなせばいいっていうわけではありません。納棺の儀の細部はご遺族の心情に寄り添って柔らかな気配りを

亡くなった人が生前に愛用していた口紅で死化粧をしたり、お気に入りのスカーフを首に巻いたり。尊厳を持つ“ヒト”としてご遺体と向き合うんです。でも、主人公の優しい気配りは、仕事のサービスの一環としてっていうより「やりたくてやったんだなぁ」と私には見えました。それがご遺族の心に響くから「ありがとう…ありがとう…」って感謝を言われるんですよね、きっと

こうして主人公は納棺師という仕事に惚れ込むわけですが、家庭では波乱が起きます。奥さんには理解してもらえないんですな。とうとう主人公は奥さんに「私と仕事どっちが大事?」みたいにハードな選択を迫られた末に、おそるおそる「仕事」を選択します。大事な抜き差しならないことを誤魔化さないところは良い男だが、上手くやれよ…

結局のところ奥さんは実家に帰っちゃうんですけど面倒見の良いタヌキな社長に「俺のつくる飯のほうが美味いぞ」なんて言われちゃって公私を会社とともにしながら主人公はますます仕事にのめりこむことに

私が主人公の立場だったら奥さん(広末涼子)に「ねえ、どっち!?」なんて言われてしまえば、「ごめん!ごめん!君が一番だいじだよーーーー」とかヘコヘコ謝って生き方をヒョイヒョイ変えちゃうかも笑

でも、人生の最大重要事項にあたるファミリーよりも大事な“何か”が芽生えた人っていうのはスゴく幸せなんだろーなーって思いました(これは不遜な物言いというやつでしょうか)。

私にはそういう“何か”があるんかなぁ…。「葬儀」と「職業」という二層構造で生き方を考えさせられたということです

いや、ほんと、感動してしまった。リアルタイムで見たかったなぁ。うーん、でも、今の時期に初見だからよかったのかも?

余談ですが見終わったあとは『おくりびと』っていうタイトルに納得感が深まりました。“納棺”という職務を表す言葉を“送る”に置き換えたうえに“師”を “人”に、ということでしょうね。納棺師はただの職業ではなくって、「納棺師は人生だ!」っていうメッセージがタイトルに込められていたのではないでしょうか。素晴らしいキャッチコピーのセンス!

ところで私は「死」をテーマやモチーフに据えた作品が以前からけっこう好きです。「いい生き方ってなんだろう?」って聞かれても正直わからんのですけど、「いい死に方」はけっこうイメージしやすいんですね

映画だと伊丹十三監督の『お葬式』は好きだし、黒澤明監督の『まあだだよ』も好き。映画版の『世界の中心で愛を叫ぶ』は山崎努が良い味を出してて、ほんとよかった!あとは村上春樹原作の『ノルウェイの森』も切なくって泣けてくるし、カズオ・イシグロ原作の『私を離さないで』はすっごく悲しい気持ちになるけど頑張って生きよう!って気持ちになる

映画じゃなくて小説の作品だと、初期の吉本ばななは登場人物の家族は誰かしら死んでるという設定が定番ですが、思い出をそれぞれが大切に持ち寄って静かに暮らす様子が胸にくる。「故人は胸のうちに生きる」っていう感じ?

家族の喪失を描いた川瀨直美監督の『殯の森』もそろそろ見たくなりました。先日公開された映画『朝が来る』という特別養子縁組を描いた河瀨監督の作品(辻村深月原作)も話題になってるようですし。頃合いを見計らって映画館で見たい!



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